育児は親こそ勉強が必要ーPTA会長の相田みつを
フジテレビの番組「寺子屋」を視聴しました。その内容と感想を書きます。
「寺子屋」とは、「子育て」や「生き方」についての講演会を放送している番組です。
講師は相田一人さん、テーマは「PTA会長 相田みつを」。
書家であり詩人の相田みつをさんは40歳前後の時にPTA会長を務められました。
自ら会報誌を作ったり、講演会を企画したりと熱心に活動され、
そのPAT活動が作品に影響していることなどをお話しされました。
講師の相田一人さんは相田みつをさんのご長男で、相田みつを美術館の館長をされており、美術館業務の傍ら、全国各地での講演活動や執筆活動を行っています。
裏方の仕事を重視し、行動した相田さん
相田みつをさんは書家であり、詩人でした。アトリエに篭り、一日中作品を書いている孤高のイメージがありますが、実は人と付き合うことが好きで、地域活動も積極的に行っていました。
町内の育成会での親子座談会を企画し、ポスターもデザインされました。書と並びデザインの仕事もされていたそうです。その後、PTAの仕事もするようになりました。
芸術家として派手な面だけでなく、裏方としての地味な仕事も非常に大事にされていたそうです。
PTA会報誌「えにし」ー作品の原型
相田みつをさんがPTAの仕事で力を入れたのは広報紙でした。広報紙のタイトルを「えにし」と名付け、自らエッセイや詩を掲載したそうです。この「えにし」の上部に「えにしのちかい」が記載されています。
えにしのちかいとは下記の3つです。
・しみじみと語り合える夫婦、親子、友だちになりましょう。
・人間と人間の縁を大切に、ほんとうのことが話し合える仲になりましょう。
・子どもをよくするために親であるわたくしたち自身が、進歩し成長するようにつとめましょう。
これらのちかいの文章や、掲載したエッセイは相田みつをさんの作品の原型となるような言葉が多く散りばめられていると講師の相田さんは気付いたそうです。
例えば、
えにしの文章:
”人間それぞれに他人にわからぬ苦しみや悩みがあるものです。人間が生きていることはいくらでも失敗したりつまずいたりしながら絶えず苦しみや悩みを持ち続けていくことではないかと思います。しかもそれを何とか乗り越えていくことに人生の意義があるのではないでしょうか。”
作品:
おたがいになあ
不完全
欠点だらけの
にんげん
ですがね
ほんと、誰だって欠点だらけで完璧はないです。みんな苦しみを持っているのを何とか乗り越えようとしていることが大事だとみつをさんは考えられていたのですね。
不完全だからこそ勉強するー一生勉強一生青春
もうひとつ、えにしと作品の関連で紹介された中で印象に残ったものです。
えにしの文章:
”私たちは教育、教育と硬い言葉を使う前に、まず人間としての自分の至らなさ、不完全さを自覚しようではありませんか。自分が至らないから勉強をするのです。自分が不完全だから努力もするのです。私たちはいつでもそこに出発点をおこうではありませんか。”
作品:
一生
勉強
一生
青春
「勉強しなさい、しっかりしなさい」という教育的な立場からの観点よりも、まずそれ以前に自分たちのことを考えるべきだと。
相田みつをさんは一方的に子どもを見ることをせず、子どもが親をどう見ているかと常に意識があり自分たちがまず勉強しなければダメだと考えていたので、この作品が生まれたのではと息子の相田さんは想像します。
背景の違う様々な人たちが集うPTAという組織の会長としてひっぱっていくために、ひとつの旗が必要だと考え、その旗として、シンボルとしてこの「一生勉強一生青春」を書いたのではないかと思っているとのことでした。
親がまず勉強する必要があると考られた相田みつをさんは、PTA主催の講演会を積極的に企画し、感銘を受けた本の作者(主に学者さんたち)をお招きしました。
また、講演料が足りない時には自腹を切って補填をされたとのことでした。相田みつをさんの奥様は「おとうさんはお金にならないことには一生懸命だ」と言われていたそうです。
何事にも一生懸命というのは、芸術家っぽいなと私は思いました。
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確かに、「子は親の背中を見て育つ」といいますね。
相田みつをさんのようにはいきませんが、できる時間をみつけて日々勉強を続けていきたいと改めて思い、相田みつをさんの行動力には頭がさがる思いがしたお話しでした。